松任谷由実「Road Show」特集

松任谷由実36thとなるアルバム「Road Show」を4月6日リリース。“QUEEN IS BACK!”と呼ぶにふさわしい楽曲の数々。「GIRL a go go」「今すぐレイチェル」などのCM曲や映画「RAILWAYS」主題歌「ダンスのように抱き寄せたい」など全11曲収録。楽曲について語ったインタビューも必見!
松任谷由実 スペシャルインタビュー
goo:「Road Show」というアルバム・タイトル自体、すんなり決まったのでしょうか?
松任谷由実:1曲目「ひとつの恋が終るとき」を書いた時点から、映画的なアルバムになりそうだなという予感は、漠然とありました。イントロもすぐ出来上がってきたしね。プロデューサー(松任谷正隆)自身、この曲をオープニングにすると、早くから決めていたみたい。
goo:いかにも何かが始まりそうな、ドラマチックな雰囲気のある曲ですよね。
松任谷由実:サウンド・デザインが固まるにつれて、それこそ3D映画じゃないけど、カメラアイが動くような感じが詞にもどんどん出てきたんです。
goo:視点の動きにつれて、聞いている側も歌の世界に引き込まれる感覚があります。
松任谷由実:私自身、映像が完全に“見えて”ました。歌い出しの“前も見えない雨が/それぞれの道/照らしてた”のくだりとか。フロントシートに座る二人の前を、2本のヘッドライトが並行に切り裂いていく、そういう光景がね。
goo:ある意味映画監督のような・・・・・・
松任谷由実:映像をイメージしたところから、キーワードが生まれてくるケースは確かに多いですね。先にシングルとして発表していた「バトンリレー」もそう。もともと生命保険のCMソング(第一生命グループ)として書いたんですが、スポンサーが女子マラソンの後援企業でもあったところから、歌詞にもある通り“走っている”映像が浮かんできた。
goo:とはいえ、そこから“そんなあどけない顔して/眠ってるあなたも/悩みはたぶんあるのね”といった、大きな意味での“母性”さえ感じさせる歌詞が出てくるのがすごいですね。
松任谷由実:実際母親になった経験がない分、濃縮して出ちゃったのかな(笑)。いや、そうやって見守られているのは、幼児期の私だったのかもしれないですよね。眠っている子どもを見つめている“私”がいて、さらにはそんな私を見守ってくれていた母や祖母がいて・・・そんな映像イメージも、この歌の中には投影されているんです。
goo:一方「GIRL a go go」は、同じCMソングであっても、対照的に明るく弾けたイメージ。
松任谷由実:1950年代のアメリカ映画によくありましたよね。水着姿の女の子たちが出てきて、とにかくにぎやかなだけという他愛ない作品が(笑)。リフトアップ・コスメ(コーセー『グランデーヌ ルクサージュ』)用の曲だったこともあって、チアアップ、とりあえず元気なイメージで行こうと。
goo:それで歌詞に“急流”や“岩山”が出てくるんですね。
松任谷由実:そう。リフトアップが必要な世代がターゲットなわけだから、逆境も多少は意識して(笑)。書き始めた時点では、アウトドア系というか、ヘビーデューティーなウェアを着た女子が、頭の中を動きまわっていた。アウトドア自体、最終的には比喩になりましたけどね。元気さをアピールしつつも子どもっぽい歌にはしないという、兼ね合いには苦心しました。スポーツにしてもリゾートにしても、そのものずばりを描くんじゃない。フィクション化されているところが、私の歌のポイントだと思っているので。
goo:だからこそ、目に見えるような“映像的”な曲でありながら、聞き手一人一人のイマジネーションに訴えかける作品になっていると思うんです。
松任谷由実:「ひとつの恋が終るとき」で意識したのもそこなんです。あえて“ひとつの”と限定することで、別の恋、アナザーだってあるんだよということを暗示している。ひょっとしてアザーズかもしれないし(笑)。
goo:そう思うと、すごく“大人”な歌。
松任谷由実:50年代のアメリカ映画にことよせていうと、先日亡くなったエリザベス・テイラーの出演作がそうでしたよね。アメリカ映画なのに、ファッションにしてもライティングにしても、どこかヨーロッパ的。単純なハッピーエンドでは終わらない、割り切れないせつなさが残る作品が多かった。
goo:今回、アルバムの最後に置かれた「ダンスのように抱き寄せたい」が、まさにそういった作品のような気がします。
松任谷由実:実際、映画(「RAILWAYS」)のエンディング・テーマに使っていただいた曲なんですよね。映画自体、後半生をいかに生きるかという、ミッドエイジ・クライシスを励ますような内容だった。そこにスタンダード・ナンバーの「ラストダンスは私に」、それも岩谷時子さんが訳詞された日本語詞のイメージをダブらせた雰囲気で、作っていきました。素晴らしいですよ、岩谷さんの訳詞。原曲の歌詞を読むと、ただただ「君を家まで送っていくのはオレだ」って、歌ってるだけなんだから(笑)
goo:なかなか趣のない・・・・・・(笑)
松任谷由実:岩谷さんはそれを、本当に趣深い“人生の歌”に変えてしまった。「ダンスのように抱き寄せたい」には、先人が残したそうした仕事への、リスペクトも込められているんです。
goo:と同時に、文字通り「Road Show」というアルバムの、エンディング・ロールとして聞くこともできる。
松任谷由実:そう。それもただ“暗い”だけではない。そこにはポジティヴな希望も見える・・・・・・そんなアルバムにしたかったんです。
goo:それこそこの曲の歌詞にある“どんなに時が/移り変わっていっても”ですね。
松任谷由実:全11曲、11篇の“映画”を作ることを通じて、私自身自らを励ますことができたように、聞いてくれた方たちが、なんらかのポジティヴさを受け取ってくださったらいいですね。
goo:ありがとうございました。
松任谷由実 作品情報
「Road Show」
2011年4月6日発売
・【CD】TOCT-27000 \3,000 (tax in)
【初回生産分のみ】
★デジパック仕様
★コンサートツアー2011 Road Show 先行抽選予約チラシ封入
「Road Show」 収録曲
【CD】
- ひとつの恋が終るとき
- Mysterious Flower
ニンテンドー3DS専用ソフト「レイトン教授と奇跡の仮面」エンディングテーマ曲 - I Love You
- 今すぐレイチェル
ABC-MART ホーキンスCMソング - 夏は過ぎてゆき
- 太陽と黒いバラ
- コインの裏側
- 夢を忘れたDreamer
- GIRL a go go
コーセー『グランデーヌ ルクサージュ』CMソング - バトンリレー
第一生命グループソング - ダンスのように抱き寄せたい
映画「RAILWAYS」主題歌
松任谷由実 歌詞情報
「Road Show」
- 1.ひとつの恋が終るとき
- 2.Mysterious Flower
- 3.I Love You
- 4.今すぐレイチェル
- 5.夏は過ぎてゆき
- 6.太陽と黒いバラ
- 7.コインの裏側
- 8.夢を忘れたDreamer
- 9.GIRL a go go
- 10.バトンリレー
- 11.ダンスのように抱き寄せたい
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